ウール素材の衣服を洗濯機で洗えるようにするための防縮加工技術が開発されました。この技術では、従来の防縮加工プロセスに比べ複雑さとコストが軽減され、さらに水や化学物質、エネルギーの消費量も抑えることができます。
省エネルギー
従来のマシンウォッシャブル加工に比べて、水、エネルギー、化学物質の使用量が抑えられています。
複雑さを軽減
衣服に加工ができ、ラムウール素材のニットウェアにも適しています。
利用しやすい
オゾン加工を今の時代に合わせて活用しています。
50年近く前に開発された、洗濯機で洗えるウール(スーパーウォッシュウールとも呼ばれる)は、ウール業界に革命を起こし、広く採用されてきました。これにより、消費者はさまざまなウール素材の衣服を、縮みや型崩れ、フェルト化などの心配をせずに、家庭用洗濯機で簡単に洗濯することができるようになりました。
しかし、ザ・ウールマーク・カンパニーは、サプライチェーンにおけるウールの環境フットプリントを最小化する取り組みの一環として、スペインの機械メーカーであるJeanologiaと共同で、ウール素材の衣服を洗濯機で洗えるようにするための、より環境にやさしい新たなプロセスを商用化しました。
WoolUpでは、従来の方法に比べて化学物質、水、エネルギーの使用量が大幅に削減され、環境への影響を最小限に抑えています。この加工をすることで衣服の洗濯を妨げることはありません。また、従来のプロセスに比べて複雑さも大幅に軽減され、利用しやすくなっています。工業規模での利用にも適しています。
WoolUp加工をした後に反応染料で染色すると、特に中間色~淡色の濃淡で大幅にコストを削減できることが実証されています。染色前の衣服に加工を施しても、色の変化はほとんど見られません。
仕組み
WoolUp
WoolUp加工は、ウール繊維の表面を改質するオゾン加工を用いて、衣服の状態で製品を加工する従来より簡単なドライ工程です。うろこ状のスケールの先端を取り除き繊維をなめらかにすることで、繊維がからみ合うことなくすべるようになり、フェルト化や縮みを防ぐことができます。
オゾンにウール繊維の表面を改質する作用があることは長年知られていましたが、JeanologiaのWoolUp加工は、既存の科学技術を見事に今の時代に合わせて活用し、取り入れたものです。
WoolUp加工は、梳毛や紡毛(ウール100%やウール混紡)のアパレル製品に使用することができます。しかしこの技術は、特にラムウール素材ニットウェア市場への参入を目指す企業にとって画期的なものです。この市場では、必要な仕上げの性質やその複雑さから、これまでマシンウォッシャブルは実現が困難とされてきたのです。